協会紹介

 

いい福祉!愛媛県福祉サービス協会 会長 鳥生 明三十周年に寄せて

愛媛県福祉サービス協会は県下の福祉・保健・医療の携わる事業者が広く連携し、情報交換や相互の親睦を通じて、業務の改善、資質の向上を図り各自の事業を通じて社会的ニーズに寄与することを目的とし事業展開を行ってまいりました。

前期の十年は、介護保険の制度移行に対応すべく、介護保険制度で行われる福祉用具の貸与事業所に参画する事業者のために当協会の果たした役割は非常に大きいと自負しております。指定業者になるための勉強会を何度も開催したことを記憶しております。会員の拡充もさることながら会員事業所の人材育成のために、継続的な研修会を実施してまいりました。 

そして十周年の記念事業の一つとして、当時厚生労働省 老健局振興課課長補佐 渡邉愼一氏をお招きし「新しい介護保険の取り組み・介護の現場に期待するもの」と題して講演会を行い、愛媛県介護実習・普及センターを見学いただきました。さらに当協会の活動をご理解いただき、介護実習・普及センターの管理運営・各種福祉用具・住宅改修活用推進事業を愛媛県・愛媛県社会福祉協議会より当協会に委託されることになりました。全国的に著名な先生方に松山市へお越しいただき、福祉施設や福祉用具貸与事業所等福祉に携わる方々を対象に充実した講演内容で講習会を開催してまいりました。平成18年には木之瀬隆先生との出会いがあり県内のシーティングの必要性を実感し、移乗技術と共に作業療法士の皆様と車椅子の環境改善に取り組んでまいりました。さらに平成20年以降に初めての腰痛予防に取り組みました。全国的にもいち早く腰痛予防・リフト・移乗・体位変換講習を開催し、リフトリーダーの育成と腰痛予防の対策の必要性を訴えてきました。現在の介護労働者不足も考えた、質の高い安心介護への道を目指した対策へと進んできました。

二十周年を迎えた平成25年は厚生労働省が19年ぶりに「職場における腰痛予防対策指針」を改訂され 「持ち上げない介護・・腰痛予防と体位変換など」えひめ福祉用具フェア展示会でのテーマとして取り上げられ各種講習会を開催してきました。さらに介護事故や苦情の軽減のための安全な介護を目指し「介護事故ゼロへの対策」に取り組み事故報告書を公表し対策を!・・介護事故ゼロへの対策 誤嚥・窒息予防  ・リスク軽減への取り組みを呼びかけ 松山市さらに愛媛県の介護事故のデータの公表を始めて、現在も引き続き行っています。(平成27年から令和3年までの愛媛県の介護事故にかかる調査が公表されています。) 平成29年度からはノーリフティングケアの推進に積極的に取り組んでいます。持ち上げない・抱え上げない介護や看護(ノーリフティングケア)の導入の先進施設の紹介やこうしゅくゼロ推進協議会の紹介など、新たなテーマに「高齢者が安心して生活を送ることができる地域(施設)」を掲げて、「抱え上げない介護・看護が私の働く環境、文化を変える!」と訴えて、介護事故ゼロへの対策と拘縮ゼロ作戦と合わせた推進を展開してきました。

令和に入り「愛媛県ノーリフティングケア普及啓発モデル事業」が始まりました。「身体の機能・構造に合った質の高い介護の提供」及び「利用者のできることを生かす適切な福祉用具の活用」を併せて行うことで、利用者が「安心・安全な介護」を受けられ、介護者も「安心・安全な介護」を提供するストレスフリーな介護現場の実現を目指し3年間で県内18施設が取り組み「ノーリフティングケア宣言」を発信するようになりました。

今年度から愛媛県介護実習・普及センターは介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム事業を開始、福祉用具展示場も一部介護ロボットの紹介が始まりました。 厚生労働省も介護労働者の身体的負担軽減や腰痛予防のため、利用者の安全・安楽な介護を目指す「ノーリフティングケア」が効果的だと諮問機関で認められました。介護職員等特定殊遇改善改革のなどの改正・職場環境等要件があり、その中には「腰痛を含む心身の健康管理」「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」「資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導を実施する」さらに介護職員の能力評価を行う。・・資格取得のための支援の実施、介護のデジタル化などが必要と呼びかけています。 腰痛予防対策やノーリフティングケアの推進には、移乗用具・体位変換や移動用リフトをはじめとする福祉用具をただしく有効に活用することが望まれるところです。当協会も腰痛予防・ノーリフティングケアには、他県に負けない取り組みをやってきました。しかし、まだまだ現在の福祉用具の環境は用具に関する情報不足のほか具体的な利用方法や有効な使用、導入に関してのアセスメント手法、モニタリングやその結果に対するフォローアップ等専門的知識・技術を学んだ介護職員や人材を育成する指導者の不足などが考えられます。

今後のあるべき介護環境の改善への提案を行い、介護の現状・将来、抱え上げない介護・看護方法、腰痛予防指針の徹底など「施設の労働安全とその対策」「介護負担の軽減・介護の質の向上」「介護事故対策」などに「抱え上げない介護」「ノーリフティングケア」の取り組みを積極的に推進し、正しい福祉用具の活用・利用促進におおきな役割を果たし安心・安全な介護サービスを提供できるように事業を推進していく必要があります。令和4年度コロナ感染の状況もありますが、各種新しい制度・課題への事業展開に対応すべき、会員や指定事業者葉の研修・情報提供と重要な役割を自覚し、福祉用具・住宅改修等のハードとサービス・ソフト両面の指導・普及を重点目標とし、今後も会員や行政・医療・介護保険の各種サービス提供者と連携を共に、利用者のニーズに合った、自立への援助と安全な介護へのサポートなど福祉用具の選定とサービスの充実を図れる事業を推進し、その役割を果たし、さらに事業を展開するために組織の強化と会員の拡大にも努力し、地域福祉に貢献する活動を展開していきたいと思います。

今後も関係各位や会員皆様のご協力をいただきつつ三十年目を迎えるにあたり関係各位に対し本当に「ありがとうございます」とお礼を申し上げ格別のご指導ご支援を賜りますようお願い申し上げる次第です。

愛媛県福祉サービス協会 

会長 鳥生 明